オフィスの近くに小田急百貨店の新宿店がある。10階に三省堂が入っているので、本を買いたいときにたまに行くことがあるのだが、この書店の近くに万年筆を置いているコーナーがある。万年筆には興味があるので、たまにそこに行くこともある。ただしまだ買ったことはない。
この万年筆店に行くときに、いつもかなり怪しい格好をしている。フードのついた汚れてボロっとしたコートを着て、パッとしない靴を履いて、マスクをした不審者。それでも一応ネクタイをしているのだが、そこがかえって怪しい。コートは袖が汚れているし少し穴も開いている。といった外見の不審者が高そうな万年筆を眺めているのだ。
それだけなら単に無視するか、万一に備えて何か不審な行動がないかこっそり監視すればいいだけのことだ。悪戯というのは、このコートの胸ポケットにモンブランの万年筆が挿してあるのである。
モンブランの万年筆はキャップに大きなロゴマークが入っているから店員はすぐに気付くはずだ。もしかしたら型番まで分るかもしれない。着ているコートよりも高そうな万年筆を持っている不審者というのは店員としてどういう対応をすべきなのだろうか。ちなみに、一度だけ「何かお探しでしょうか」と声をかけられたことがある。