最低賃金

ニュースで春闘の話題で、ベースアップ相当の賃上げを要求する、という話が出てきた。コロナ不況で利益が激減している中の賃上げは自滅行為のような気もするのだが、方向的には労働者が賃上げを要求するのは当たり前なので、そこは気にしていない。

気になったのは、日本の賃金が OECD の中でも低い水準にあるから上げるべきという主張である。確かに日本の最低賃金の水準は低い。しかし、それは労働者に支払うべき賃金を払わずに経営者が利益を独占しているからではないだろう。賃金を上げるには、どこかからお金を持ってこなければならない。利益が激減している中、そのお金は一体どこにあるのか。

また、日本の失業率は OECD の中では最も低い水準である。最低賃金を上げればいいのなら、例えば 5%程度の従業員を解雇して、それで浮いた分を賃上げに使えば辻褄があう。それで OECD の水準には近づくだろう。

もちろん、そのようなことはできないし、本当にそんなことをしたら企業は全滅するかもしれないが、単純に賃金を上げればいいのかという疑問は常に持つべきだ。最低賃金が上がったために雇えないという問題は、弱小企業では現実に起こっている問題である。最低賃金を守るために労働時間を制限してやりくりするケースもあるという。それは本当に望んだ姿なのだろうか。

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